労務・人材活性化

2023年は「ジャネの法則」を打ち破ろう!

経営VOL.165

間もなく2022年も終わろうとしていますが、先生方にとって、どのような1年でしたでしょうか。毎年、この時期になると「今年も早かったなあ…」と感じておられるのではないでしょうか。
そして、この「今年も早かった」という感覚は、年を重ねるに従って、どんどん早く感じておられるのではないでしょうか。これは『主観的に記憶された年月の長さは、年少者にはより長く、年長者にはより短く感じられる』、つまり『生涯のある時期における時間の心理的な長さは年齢の逆数に比例する(年齢に反比例する)』という『ジャネの法則』に基づく現象で、簡単にいうと50歳の1年間は「1年間/50年間」、5歳の1年間は「1年間/5年間」、つまり、50歳の時間は5歳の子供の10倍の速さで過ぎているということなのです。
これを聞いて、「そうか、毎年早く感じるのは学問的に立証されているのか。そうであれば仕方ない」と安心される方も多いのですが…、果たして、それで良いのでしょうか
と申しますのは、時間の経過を早く感じるのは、『子供の頃は新しい発見や体験で毎日が新鮮であったのに対し、大人になるにつれてその機会が失われ、毎日に新鮮味がなくなるから』という説もあり、要は、『早く感じる=新鮮味のない毎日を過ごしている』ということに他ならないというのです。
当然、この感覚には個人差があると思われますので、全員が早く感じるから新鮮味のない生活を送っているとは申しませんが、少なくとも思い当たる節のある方は、これを機会に来年から1年1年、この時期には「今年は充実していた」と振り返ることができる生活を目指してみてはいかがでしょうか。 そのためには、プライベートのことは個々に違うのでさて置き、まずは、「仕事上、自分にとって充実した1年とは?」を年末年始のお休み中に整理し、新年のスタートを切る『仕事始めの日』を迎えることが非常に重要となりますので、今号では、この『仕事始めの日』を充実した日にするため、ご参考になるお話をさせて頂きたいと思います。

【そもそも、「仕事始め」とはどのような日なのか?】
「仕事始め」とは文字通り、単に「新年を迎えた最初の仕事日」と認識されている方がほとんどかも知れませんが、本来、そのような軽々しい日ではありません。日本では昔から豊作豊漁商売繁盛労働の安全技能の上達を祈り、神様を祀ってから仕事を始める日という、非常に重要で神聖な日と位置付けられていたのです。

【よくある「仕事始めの日」の風景…、それで大丈夫?】
その名残りもあって、今でも、年始の挨拶後、院長が訓示を行ったり、スタッフに「今年の抱負」を発表してもらったり、そのまま「初詣」に全員で出掛けたりしているクリニックさんも未だ多く見受けられます。
もちろん、これらは、仕事始めの「行事感」があって良いと思います。
しかし、毎年の恒例であるならば、「今年も始まったなあ」という気にはなりますが、院長をはじめスタッフ全員が「今年も頑張るぞ!」というワーク・エンゲージメント(感情とヤル気を伴う、仕事に対してポジティブな状態)になっているのかどうか、という話です。
もし、何の新鮮味もなく単なる「恒例行事」としていつも通りに過ぎてしまえば、「今年も早かった」の繰り返しになってしまいます。 それでは、何か新鮮味のある変わったことをすれば良いのかと言えばそうではなく、今号でお伝えしたいのは、仕事始めの日を年に一度の「院長の想いを発表する日」とし、そのために年末年始、本当に1年で「やりたいこと」を考えてみてはどうでしょうか、というご提案なのです。

【道徳なき経済は犯罪、経済なき道徳は寝言…!】
「やりたいこと」として、売上や利益という数値目標だけを掲げる先生がおられますが、そこに「大義名分」「意義」がないと、先生だけが豊かになるイメージを持たれかねません(先生とスタッフの間に信頼関係がない場合はなおさらです)。
逆に、数値を度外視して理想を語る先生も多いですが、これもスタッフからすれば付き合いきれるものではありません。 ポストコロナ時代を迎え、利益至上主義からSDGs等の持続可能な社会への貢献が経営の羅針盤になっている今、改めて来年1年は何のために働くのか(意義)、何を成し遂げれば自分は嬉しいのか(想い)、そのためにどれぐらいの売上や利益が必要なのか、その達成のためスタッフにはどうして欲しいのか等々、普段、なかなか考える時間もないと思いますので、是非、お休み中に考えて頂き、そして、その考えた内容を、借りものではなく先生自身の言葉で話して下さい。
そうすれば、まず、仕事始めの日にそこまで話すことを先生が考えてきたということにスタッフは驚き、例年より聞く耳を持ちます。そして、その内容を真剣に先生が伝え、皆の共感を得られたなら、来年は「早かった」ではなく「充実していた」と言える最初の第一歩を踏み出すことができるのです。やってみたいが一人では不安な先生は、ご相談下さい!

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