労務・人材活性化

新型コロナウイルス関連の休業と復職について

経営VOL.142

年明け以降、新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、11の都府県で「緊急事態宣言」が発令されています。

第1波・第2波に比べ、今回の第3波では20代~50代の「陽性者」が増加、但し、「重症者」の割合は比較的少なく、「軽症」または「無症状」の方も多いため、気付かないうちに、いつ・誰が感染してもおかしくない状況です。

弊社のクライアントでも、スタッフさんが「陽性」となったり、「濃厚接触者」になったりするケースが出始めております。

今号では、この状況下で先生も含め、スタッフさんが新型コロナウイルスに感染した場合や濃厚接触者になった場合はどのようにすれば良いのかについてお話しさせて頂きます。

【スタッフさんの「休業手当」についておさらい】
まず、スタッフさんの休業手当についてですが、これは昨年9月発刊のAMCPレポート(経営VOL.138)にて整理させて頂きました。しかし、少し期間も経過しておりますので、今号の始めに、簡単ではありますが、おさらいさせて頂きます。

  • 濃厚接触者になった場合
    一般的には、具体的な症状がなく、就労可能な状態であるのに休ませる場合「休業手当」が必要と解されますが、「自宅待機」をさせる事由が、事業者として避けようがない外部に起因する事由であり、「不可抗力による休業」と考えられるため、休業手当は不要とされています。
  • 感染してしまった場合
    都道府県知事により『入院勧告』を受ける等『就業制限』の対象になり、一定期間休業させることになりますが、これも「濃厚接触者」になった場合と同様の事由により、休業手当は不要とされています。

AMCPレポート(経営VOL.138)では、この状況の中、頑張ってくれているスタッフさんの皆さんの士気を下げることは得策ではないため、法的に「休業手当」が不要であったとしても、「欠勤扱い」ではなく、「特別休暇」「有給休暇」を活用する等、柔軟な対応をお勧めさせて頂きました。

【休ませてから「復職」までの目安は?】
次に、実際の対応として、復職までにはどの程度の日数が必要なのか、「入院療養者」の場合や、入院していなくても「感染疑い」の場合等、色々なケースがありますが、これにつきましても、今号で最新情報にて整理させて頂きます。

  • 症状がある場合
    ・ 発熱等の症状が出現してから10日間が経過し、発熱などの症状が「軽快」してから72時間が経過した場合
    ⇒ PCR検査を経ずに退院が可能
    ・ 10日間が経過していなくても、症状が「軽快」して2回連続でPCR検査の「陰性」が確認された場合
    ⇒ 1回目は症状が「軽快」して24時間後、2回目はその24時間後に実施し陰性確認 → 退院可能
  • 症状がない(無症状病原体保有者)場合
    ・ 検査のための検体をとった日から10日間を経過
    ⇒ PCR検査を経ずに退院可能
    ・ 検査のための検体をとった日から6日間が経過し、PCR検査で2回連続の「陰性」を確認
    ⇒ 退院が可能
  • 『感染疑い(発熱や感冒様の症状を認め、PCR検査「陰性」、または「未実施」)』の場合
    ・ 発症後に少なくても8日が経過
    ・ 薬剤を服用していない状態で、「解熱」後および「症状消失」3日以上経過
    ⇒ 職場への復帰可能(但し、総合的な判断による)

尚、これらは、あくまで「目安」ですので、実際に復職させるのかどうかについては、本人の健康状態や主治医のアドバイス、行政の指示等を踏まえ、総合的な判断が必要です。

【どんな状況でも、日々、やるべきことをやるしかありません】
冒頭にお伝えした通り、現在11都府県に緊急事態宣言が発令され、医療体制も逼迫している状況の中、診療科目を問わずクリニックの役割は極めて重要となっておりますが、感染者を出して少しでも閉院すると、患者さんが困るのはもちろんのこと、スタッフの生活だけでなく院長自身の生活も脅かされる事態になってしまう可能性も少なくありません。

そうならないためにも、不要不急の外出は避け複数人での会食はせず手指消毒やうがい等の感染予防対策を徹底し、また、診療時には、マスク・フェイスガード・手袋を着用しこまめに換気・消毒を行い…という、コロナ禍が収束するまでは、全員で「やるべきことを徹底してやる!」ということを、クリニックの方針として改めて再確認して頂き、この難局を、院長が中心となって乗り越えて頂きたいと願っております。

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