Archive for 4月, 2007

4月 27th 2007
21日産経新聞夕刊で紹介されました

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このブログ、開業医の為の「こぼれ話」は50話をもちまして一旦終了いたしましたが、果たしてどれだけの方々が読まれているのか気になるところでありましたが、4月21日の産経新聞夕刊にて、「ブログ人」という企画の記事に掲載されました、離婚カウンセラーとしてTV出演などでもご活躍の、株式会社エンジェル  代表 山崎世美子さまにこのブログをお読みいただいておりまして、掲載記事の中で「一押しブログ」というかたちでご紹介いただきました。

開業医の方やこれから開業をしようとお考えのドクターの為に書き始めたブログですが、いろいろな方にお読みいただいていたことは書いていて何よりうれしい限りです。

次作ブログも現在執筆中ですので、是非ともいろいろな方にお読みいただけるよう、がんばって執筆いたします。

ありがとうございました。

4月21日産経新聞夕刊で、開業医の為のこぼれ話が紹介されました

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4月 24th 2007
今だから…。 (最終話)

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大川先生は、一通り話終えると一気にグラスを空け、お代わりを注文されました。

「すまんね、私ばかり話して…」

「いえ、それより、その後どうなったんですか?」

「ははは、幸いみんな近所のスタッフだったから、全員に電話をしてひたすら謝って来てもらったんだけどね。」

「そうだったんですか~、どうなることかと思いましたよ。しかし…、ご苦労されたんですね。ですが先生、そんな開業状態から、よくぞ今の隆盛を築かれましたね。どう考えても、当時の状態から、今の状態へワープされたようなイメージですよ!」

「ははは、隆盛なんてとんでもない!ひたすら、自分の信じた道を1歩1歩進んでいるだけで、何も特別なことはしてないよ。しかし、初年度は大変だったなあ…。初日から毎日が修羅場だったよ。」

「先生、特別なことはされていないと仰いますが、他の医院に比べて明らかに患者も多いですし、スタッフも優秀と思います。開業されてから、今までに一体何があったのですか?地道に真面目にやっているだけで、ここまでにはならないと思います。」

「う~ん、色々あったなあ…、ただ、ひとつ言える事は、心の底からこの医院と心中する覚悟を決め、心の底から自分と接する人々、患者さんも従業員も幸せになって欲しいと思い出した頃から変わり始めたのは事実かな…、キーポイントは…、おっと、もうこんな時間か。明日も診察だから失礼するよ。今日は初心に戻る事が出来て楽しかったよ!」

と、言い残して、先生はタクシーに乗り込みました。

「“勝ち組”に見える大川先生でも苦労したんだなあ…。しかし、どうやって…?気持ちの変化だけで全て上手くいくものなのか?また、開業後の成功話を聞かなければ…!」

そう、心に決めて、その日を楽しみにしながら店を後にしました。

これまでの新規開業医の悲しい物語が小冊子になりました。ご希望の方はこちらをクリックしてください

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4月 23rd 2007
いよいよ開業日:診療スタート!:後編(第49話)

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結局、午前中の患者数は「ゼロ」だった。

あんなに宣伝したのに…。
内覧会では、ご婦人方が「必ず来るから」と喜んで粗品を持って帰ったのに…。

午後の休診時間中には、引続き花屋さんや、色々な飛び込みセールスマン、薬屋さんなどが相次いで来院。

更に、佐川氏も来た。

「先生、初日はこんなもんですって!いい休養だと思ってリラックスして下さいよ!」

リラックス出来るか!他人事だと思って…。

それよりも何よりも、一番驚いた来客は、“親父”だった。

そして、たった一言だけ言い残して帰って行った。

何て顔をしてるんだ!今のお前に診てもらいたい患者はいないだろう…。鏡を見て出直せ!」

確かに…。鏡に写る自分の顔を見て驚いた。追い詰められた受験生のような顔だ。

そう言えば、午前中の自分は、スタッフを叱り付けるわ、ドアが開くたびにそわそわして落ち着きがないわ、
家内を追い返すわ、岡野さんとケンカするわ…。

もし、患者さんがこのまま永遠に来なければどうしよう…。

借金は?生活は?とマイナス思考のみが支配していた。

午後診療からは、気持ちを入れ替えて“にこやか”になろう。
いいじゃないか、今日ぐらい患者さんが来なくても。

明日があるさ!

スタッフには謝ろう。そして、もう一度頑張ろう!と言ってみよう。

そう思ってみんなが出勤して来るのを待っていたが、出勤時間の3時45分になっても誰も来ない。

「まさか…!」

案の定、全員がスタッフルームに「辞表」を置いていた。

もうすぐ午後診が始まるのにどうすればいいんだ!

明日へ続く・・・

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4月 20th 2007
いよいよ開業日:診療スタート!:前編(第48話)

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9時5分頃、早速、自動ドアが開いた。

「こんに…ちは。」

花屋さんだった。開院祝の花を届けに来てくれた。

9時10分頃、2回目のドアが開いた。今度こそ患者さんだ!荷物を持っていない!

「こんに…ちは。」

またまた花屋さんだった。大きな花だったので、廊下に置いて入ってきたので手ぶらだった訳だ。

手に持っている「伝票」が「健康保険証」に見えてしまった…。情けない…。

9時半頃、3回目のドアが開いた。今度こそ…!!

「こんに…ちは。何だ、何しに来たんだよ!」

家内だった。子供が学校に行った後、心配して見に来たらしい。
こちらとしては、何か恥ずかしいところを見られたようで、つい突っかかってしまった。

「…、ごめんなさい。頑張ってね。」

そう言い残して中に入らずに帰っていった。

その様子を見ていた看護師の岡野さんが、「先生、それは余りにもヒドくないですか?
奥様が心配して来られたのに追い返すなんて…」

とたまりかねた様子で詰め寄ってきた。

「ウチのことなんだから、アナタには関係ないだろ?いいから仕事して!」

「患者さんもいないのに何の仕事をすればいいんですか?私は看護師ですよ!」

「…。」

「それに…、先生は何をそんなにイライラしてるんですか!」

「アナタには言っても分からないよ!今日の日を私はどんな思いで迎えたか…!」

「だからって、周囲に不機嫌をまき散らしていいというものじゃないでしょう!」

「誰がまき散らしてるんだ!」

とうとう、お互い、感情をむき出しにして口論となってしまった。

初日から何をやってるんだか…。

明日へ続く・・・

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4月 19th 2007
いよいよ開業日:診療開始前:後編(第47話)

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その後、立て続けに、看護師の岡野さん、岩木さん、受付の加藤さんが連れ立って出勤してきた。8時40分だ。

本来であれば、何の問題もない時間だ。しかし、イライラは止まらない。

「おはようございます!」
「おはようございま~す!今日から頑張りましょ~う!」

「初日なんだからさ、もう少し早く来てくれよ!」

3人の明るい笑顔が消えた。

「…、おはよう。」

3人が、しょんぼりして入ったスタッフルームには、これまた、しょんぼりした寺内さんが泣いていた(らしい)。

スタッフルームは基本的に男の私が覗くわけにはいかないので、これも後から聞いた話だが、どうやら、この先生には付いていけない!初日で緊張する気持ちも分るけど、男のヒステリーって最低!という話でまとまっていたそうだ。

私の方と言えば、初日から従業員に大きな不安を与えたことに気付かず、「これで院内が引き締まる!」と本気で思っていた。

能天気にもほどがある。自己中心というべきか。いずれにせよ、最低だ。

人のモチベーションを上げるのは正直難しいし、時間がかかることも多い。

しかし、下げるのは簡単で、しかも短時間で出来てしまう。

何となく暗い雰囲気の中、スタッフが準備を済ませ、いよいよ9時になった!!

さあ、この瞬間から忙しくなる!記念すべきクリニック新規開業の第1歩だ!

明日へ続く・・・

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4月 18th 2007
いよいよ開業日 :診療開始前:前編(第46話)

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今日は、記念すべき「クリニックの開業日」。

9時に診察開始ではあるが、8時前に出勤した。

内覧会も行ったし、電話帳にも掲載した。駅の看板も大きいスペースを確保した。ただでさえ80名は最低来る場所なんだから、初日は少なく見ても内覧会の参加者の半分である20人は来るだろう。

失敗の無いようにしなければ…!

徐々に、“気合い”が“気負い”に変化しつつあったが、当然、自分では気付かない。

院内をキレイに掃除する。しかし、新しいので全くと言っていいほど汚れていない。

時計を見ると、まだ8時30分…、もう気の早い患者さんなら来るかも知れない。

そんな大事な時間なのに、スタッフはまだ来ない!

15分前出勤で構わないと言ったが、初日ぐらい早く来てもいいだろう!全く気が利かない!
と、イライラしている時に、「おはようございま~す!」と明るい声で受付の寺内さんが入ってきた。

「今日は初日なんだから、もう少し早く来れないの?患者さんが待ってたらどうするの?」

最初が肝心だ。バシッと言ってやらなければ!という佐川氏の言葉が頭をよぎる。

「…すみません。」

明るい声のトーンが沈んだ。

本人からすれば15分も早く来たつもりなのに、小言を言われるなど夢にも思わなかっただろう。

あとから聞いた話だが、寺内さんはオープニングスタッフとして、自分なりに自分の役割を果たそうと思って緊張し、昨晩なかなか寝ることが出来ず、2~3時間しか寝れなかったそうだ。

それでも朝5時に起きて、ご主人と子供の弁当を作り、朝食を食べさせ、上の子を学校に送り出してから、下の子を保育所に預け、洗濯を済ませ、昼食の準備をしてから、少しでも早く出勤し開院に備えよう!と、自転車を飛ばして出勤して来たらしい。

それが、「もう少し早く来れないの!?」と言われた日にゃ…。

子供を持つ主婦の朝の15分というのは非常に大きく、それを早めるということがどれほどの労力なのか、当時の私は全く知る由もなかった。
明日へ続く・・・

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4月 17th 2007
開業前日 :(第45話)

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クリニックの開業届も無事に終了し、スタッフの採用も完了。そして、内覧会も実施した。電子カルテの研修も行い、接遇研修も済ませた。

新聞折込広告も5紙に入れ、駅看板も階段を上がった目の前の大きなスペースを確保した。これで月々8万円。更に、電話帳の広告も半ページ分の大きなものにし、ホームページも70万円かけた。

加えて、駅の反対側への対策として、電柱広告も手配した。ポスティングは、そこまでやらなくても患者さんは来るだろうという事で行わなかった。

これらは、全て自分で判断した。しかし、全て佐川氏の提案通りだ。

かつての自分は、よく分からないまま“お願いします”と言って丸投げしていたが、これらは、全て説明を聞いてから“お願いします!”と言っている。

何が違うのか?

それは、“納得度合”だ。結果責任を潔く負える。「自分で決めたことだから!」と。
今までのように、自分の不甲斐なさを棚に上げて、人のせいにしたりしない。

内装工事費用は手直しが何回か入り約150万アップし、医療器械のリース料も何だかんだと約15万円にまで膨らんでいた。見積書から漏れていた追加の医療器械があったためだ。

もう、この時点で、トータルコストが幾らなのか全く分らなくなっていた(後々、目が点になるのだが…)。
しかし、これも自業自得だ。予定よりオーバーした金額については、授業料と思い、診療でカバーしよう。

クリニックの内覧会は、粗品進呈と書いた効果なのか、約40名が訪れた。

「キレイな医院ね~、私は昔っから胃腸が弱くてね、必ず来るから診て下さいね。」
「主人がストレスで胃が痛いって言うのよ~。今度連れて来ますからね。」

などと、かわるがわる声を掛けて下さる。

この内覧会で妙な確信を持ってしまった。

「やはり、皆さんはこのクリニックに期待してるんだ。よ~し、頑張らないと!」

いよいよ明日は開院日だ。

「皆さん、明日から宜しくお願いします!」

今回採用した、看護師の岡野さん(仮名)、岩木さん(仮名)、それに受付の寺内さん(仮名)、加藤さん(仮名)の4名は、元気良く「宜しくお願いしま~す!」と帰って行った。

明日へ続く・・・

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4月 16th 2007
開業手続 :後編(第44話)

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吉村氏に連れられて、クリニック開業の申請へ初めて「保健所」に行った。

何課だったか忘れたが、その窓口の前に立った。そこでは、何名かが仕事をしていたが、こちらには目もくれない。

そして、吉村氏が小声で、

「あの…、すみません…。」
「あの…、すみません…。」

と2回ほど呟いた後に、一番手前の席で仕事をしていた人が、仕方なしに立ち上がり、

「はい、何ですか?」とぶっきらぼうに応えた。

何ですかとは、何ですか?こちらは、用事があって来てるのだ!

そちらも色々な書類受付をするところなら、“何か提出しに来た”という察しぐらいつくだろう。
あえて、見て見ぬ振りをしているように見えてしまう。

また、電話も鳴りっ放しで誰も取ろうとしない。10回ほどコールされた後に、書き物をしていた中年男性職員が仕方なく受話器を取っていた…。

私は、今まで、電話をかけて相手が出ない時は「不在」だからとばかり思っていた。

日本全国の保健所すべてがこのような対応ではないと思うが…。

「あの…、クリニックの新規開業の書類を持って…」

「そうですか、こちらにどうぞ!」

吉村氏の話を遮って、“面倒だから早くしてくれる?”とでも言わんばかりの対応だ。

「すみません、これがクリニックの新規開業の書類です…」

“すみません…”って、何故謝るんだ?口癖なのか?まったく…!

と、何気に書類を見ると…、え?全ての書類に私の印鑑が押してある…。

窓口でこんな事を聞く訳にもいかないので、書類が受理され保健所を出た時に吉村氏に聞いた。

「私のハンコが何故押してあるのですか?」

「はぁ…、実印ではないものですから…。大体、私どもで押して出してますが…?」

いや、実印とかそんな問題ではなく、勝手に書類にハンコを押しているというのはどういうことだという話なんだが、彼は、意外なことを聞かれたような表情だ。いちいち口を挟む私が非常識なのか?もう、よく分からない…。

保健所を出た足で、社会保険事務局に赴く。ここに到っては、カウンターすらなかったし、入口で手の空いてそうな人に声をかけてようやく作業台のような机に通されたが…。

これでは、不審者が来ても分からないだろうし、また、色々な医院の色々な申請書類があちこちに置いてある。というか、むしろ散乱していると言った方がいいだろう。個人情報保護も何もあったものじゃない!いいのか?これは…。

役所って…、こんなものなのか?自分の管轄が、たまたま“いい加減”なだけで、他所はこんなことはないと思いたい。

 

明日へ続く・・・

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4月 13th 2007
クリニック開業手続 :前編(第43話)

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早いもので、もう8月になった。とうとう、我がクリニックの開業は来月だ!

最初は、佐川氏に任せ切りで、自分では全く何もせず考えもしなかったが、吉田先輩に再会し、「自分のクリニック開業に責任を持つ!」という当たり前の決意をしてからは、何をするにしても自分の考えを述べるようになっていた。

まだまだ、嫌な顔をされたり、機嫌を悪くされたりはするが、自分自身の成長を感じる。

そんな折、医療専門税理士事務所の担当である吉村氏(仮名)から連絡があった。

「先生、明日、保健所に同行して頂けないでしょうか?待ち合わせは、朝の9時少し前に○○駅の西出口で…」

相変わらず、声が小さい!温厚な私でもイライラする。

「何のためですか?全てお任せしているはずじゃ…?」

「ええ、確かにそうなんですが、その後、社会保険事務局にも行きますので、先生がおられないとダメなのです」

だから…、何故、前日に言うかなあ…?

本当に私本人が行かなければいけないのかどうかは分からない。しかし、本来は自分でやらなければいけないことだったし、吉村氏に任せ切るのも不安だ。

また、一度、これから何かとお世話になる役所関係も見ておいた方がいいだろう…。

「分りました。それではご一緒します」

明日へ続く・・・

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4月 12th 2007
クリニックスタッフ採用の極意?(第42話)

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「さて、田辺さんはここまでどれぐらいで来れましたか?」

早速、佐川氏が口火を切る。

「はい、20分ぐらいです」

よく見たら、履歴書にちゃんと書いてある。

「何故、このクリニックを志望されたのですか?」
クリニックでの勤務経験はありますか?」
「お子さんは何人ですか?」

矢継ぎ早に質問をするのはいいが、どれも履歴書に書いてあるだろう?

何故、書いていることをわざわざ聞くのか、さっぱり分からない。

今日の面接が終わってから佐川氏に聞いてみたら、何と…、

先生、それは“あえて”聞いてるんです。最近は、履歴書に嘘を書いてくる人もいますのでねえ…。やはり、時々、履歴書と違うことをうっかり答える人もいますよ。特に、履歴書を完璧に埋めるタイプに多いですね。」

要は、採用されたいがために、本当は遠くに住んでいるのに“近い”と言ったり、子供がいるのに“いない”と言ったり…。本当に、そんな人が存在するのか?

クリニックを開業していらい、何回か面接をしたが、そんな人は見たことがない。また、そんな嘘は採用したらすぐにバレるだろう?

田辺さんも最後の方は怒り気味に帰っていったではないか…。少なくとも、そんなことをしそうな人には見えなかったし、むしろ、誠実、真剣に面接に臨んでくれた彼女に対し、不誠実に応えただけの気がして心が痛い…。

確かに、嘘をつかれる可能性が無い訳ではない。しかし、そこは“人を見る目”ではないのか?

「先生、ハッキリ言いまして、従業員の代わりなど幾らでもいますし、どうせパートなんか1年~2年しか続かないんですから、使いやすい人を雇っておけばいいんですよ!あと、従業員はしょせん“他人”なんですから、疑ってかかってちょうどいいぐらいなんです。これさえ頭に入れておけば、まあ、人で失敗する事はありませんわ。何せ、最初にガツンと言っておけば、あとは大人しいもんです。」

これを佐川氏は「極意」と言って憚らない…。

この疑い深さ、親父に近いものがあるなあ…。

「採用は“お見合い”と同じ!互いに理解し合って、一緒にゴールを目指しましょう!」

などというのは寝言なのか?

つまり、生き方そのものを変えなければいけないのか?

これについては非常に悩んだ…。

しかし、最初っから、このような接し方で従業員が気持ちよく働いてくれるはずがなく、多少のリスクがあっても自分の信念に従って、「心の採用、心の経営」をするべきなんだ!と開眼したのは最近のことだ。

 

明日へ続く・・・

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4月 11th 2007
スタッフ面接 :後編 (第41話)

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「田辺(仮名)と申します。本日は宜しくお願い致します!」

30分以上待っていたにも関わらず、折り目正しい元気な挨拶をしてくれた。28歳の主婦だ。

やはり、“礼儀正しい”というのは気持ちのいいものだ。

履歴書も立派だ!達筆であり、不備なく全ての項目を網羅し、紙面から真剣さが伺える。

信じられないことかも知れないが、最近、たったこれだけの挨拶すら出来ない人が急増している。
本来であれば、出来て当たり前の事で特筆することではないのだろうが、最近では新鮮に感じてしまう。

“入口から椅子に座るまで僅か数分ではあるが、既に、そこで大勢は決している”と、とある人事担当者が書いた本を読んだことがあるが、まさに、このようなことだろう。

ついでに言うと、履歴書の書き方もそうだ。いい加減なものが本当に最近は多い。

基本的に、履歴書というものは面接の元になるデータであり、書類選考というものがあるぐらい重要なのだ。その紙面を最大限活用して、何故、自分を少しでも理解してもらおうとしないのか?それとも真剣に採用されたいと思っていないのか?

文字の上手い・下手ではない。修正液を使っていたり、空欄が目立ったり、後は、特記事項も空欄でありながら、面接になってから色々と言ってくる人もいる。それなら最初に書いておけばいいのに…、と思う。

要は、面接をスムーズに進めるための礼儀だろう。

さて、この田辺女史は本当に気持ちいい!彼女が受付に座ってくれたなら…。どんどんイメージが湧いてくる。

しかし、クリニックの新規開業の場合は、スキルも重要なので、これだけで決める訳にはいかない…。

 

明日へ続く・・・

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4月 10th 2007
スタッフ面接 :中編(第40話)

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最初の人は、39歳主婦。子供が小学校に入るのを機にパートを希望し、応募してきた。

出産する前は、耳鼻咽喉科で受付をしていたそうだ。
ハキハキとモノを話す、美形ながらも元気な方だ。

面接で気を付けなければいけないのは、採用側ばかりが話をして、応募者の肝心な事を聞き漏らすこと。

肝心なこととは、確かに“志望動機”やら“自己アピール”も大切だが、やはり、医院の運営上、前職ではどういう経験をしたのか、勤務出来る日時、そのバックグラウンド(家族構成等)の三点セットだ。
佐川氏は話好きだ。隣で聞いていても辟易とする。

「ほ~、山本さん(仮名)は、○○医院におられたのですか?私あの辺りよく知ってます!」
「そこに△△クリニックというのがあって、そこも私が開業させたんですよ!…、」

今は関係ないだろう、そんな話は…。
応募者も最初なので愛想よく「そうなんですか~。」と返してはいるが…。

勘違いしてはいけないのが、確かにコミュニケーションを取る方法で最も手っ取り早いのは、相手との共通点を見つけて、その話題を広げることだが、その前に、相手の話を「聞く」事を中心にしなければ、面接にならない。
完全に打ち解けないと、ホンネが引出せないというのも一理あるが…、バランスの問題だろう。

自分の話を延々聞かせるだけ聞かせて、予定では10分で終わるはずが、30分もかかり、ようやく終了した。

この山本さん(仮名)が一体どういう人なのか分からないままじゃないか…。

「はい、次の方~。」

その方は、結局30分以上も待ってもらったことになるが、愛想良く入って来てくれた…。本当に申訳ない。

しかし、今日は延々と佐川氏の自慢話を聞かされるのか?

 

明日へ続く・・・

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4月 9th 2007
スタッフ面接 :前編(第39話)

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面接場所は、内装がほぼ終わりかけのクリニック院内で行われた。面談する人数は、3日間で10名。

終わりかけと言っても、まだ工事の音が鳴り響く。

やはり、応募者はヤル気があるので、時間前に必ず来院する。
皆、適度な緊張しているせいか、受答えも丁寧だ。

そうだ、スタッフは面接に来る時は「ヤル気」なんだ!
しかし、採用され、働き始めて、しばらくするとモチベーションが下がり、辞めて行く…。

これは一体何故なのか?

単純なことが原因なのだが、これに気付かずスタッフ問題に苦労している院長は多い。

この辺りについては、別途、機会を設けて詳述する。
さて、面接が始まった。

どういう人を採用すればいいのか?これについては明確な「正解」は存在しない。

ただ、「こういう人はこうなるだろうなぁ…。」という予測は成り立つ。

この辺りのノウハウも、別途、機会を設ける予定だ。

履歴書を見ながら面接をスタートさせた。

 

明日へ続く・・・

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4月 6th 2007
履歴書の数だけ面接するの? (第38話)

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スタッフ募集は、ハローワークに「求人」を出したり、土日に折込チラシを入れるのが一般的だが、最近は、街によくある「フリーペーパー」や、求人誌にも掲載する。

現在は、なかなか人を確保するのが難しいので、媒体を増やすか、条件を吊り上げるしか方法はないが、平成16年当時は、折込チラシだけでも30人以上の履歴書が送られて来た。

先生、この中で面接する人を選んで下さい。」

「選ぶんですか?全員面接しようと思っていましたが…。」

「何のために全員に会うのですか?履歴書の資格や経験である程度絞って会うのが普通ですよ…。」
佐川氏が言う通り、確かにそうかも知れない。

「しかし、縁があって応募してきてくれた人々は、仮にスタッフとして採用出来なくても、良い印象を与えておけば今後の大事な患者さんになる可能性もあるでしょ?」

「先生、あのね、どんな形であれ“不採用”になった人間が、いい印象を持つわけがないでしょ?そんなこと考えなくても、ここでクリニックを開業すると毎日最低でも80人は患者さんが来ると言ってるじゃないですか!?」

う~ん、確かに一理あるかも。正直、不採用になった人の気持ちなど知る由もない。あくまで推測だ。
ただ、毎日このクリニックに80人も患者さんが来るという事にそもそもの疑問があるんだが…。

「分かりました。それでは選んで面接しましょう。」

佐川氏の顔は、結局、自分の言う通りになるんだから、いちいち口を挟むなとでも言いたげな表情だ。

しかし、たったこれだけの事でも自分の意見を言うと何となく「自信」が湧いてくる。

さあ、明日は生まれて初めての面接だ!

 

明日へ続く・・・

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4月 5th 2007
スタッフ募集の手配 (第37話)

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「先生、スタッフの募集かけときましたから!面接は何月何日で…」

相変わらず手回しがいいと言うのか何というのか…、私は時給も知らなければ何人雇うかも知らない。

この間、先輩医師の吉田先生と会って以来、“自分の開業には自分で責任を持つ”と心に誓った。
とりあえず、全てを把握しなければいけない!と意気込んでいたので早速聞いてみた。

「佐川さん、何故、私に一言相談してくれないんですか?」

「先生、当初、私に何と仰いましたか?“全てお任せします!”と仰いましたよね?何が気に食わないのですか?」

出た!明らかに心証を害している。しかし、ここまでは想定の範囲内。

「いや…、確かにお任せしますとは申上げましたが、やはり、自分の開業なので全てを把握したいと思って…。」

「という事は、先生、私の仕事を信用していないということですか?」

「そういう訳ではありませんが、クリニックの院長となる私が知らない方がおかしいでしょう!」

ついつい語気を荒げてしまった。

「そうですか、よく分かりました。これからはそうさせてもらいます。」

う~ん、どうやら怒らせてしまったらしい。
しかし、毅然とした態度を取ったことで、自分の中で何かが弾けた!
明日へ続く・・・

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4月 4th 2007
世の中というものを知る:後編 (第36話)

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クリニックの工事具合は「今、どの段階なんだ?」

「そうですね、内装がそろそろ終わる頃ですね。これから看護師などのスタッフ募集をするところです。」
「内装の費用はどれぐらいかかった?」

「確か…、1,500万ぐらいだったかと…。」

「そうか。最初は、“坪単価○○円でやらせてもらいます!”と安い金額を提示して、工事が始まってから、変更・変更を言ってきて、追加工事云々で坪単価を上げる業者もいるらしいから気をつけないとな。」

ほ~、そんな業者もいるのか。全然知らなかった…。すごいなあ…。

これは前回と逆パターンで、最初に安い値段でアプローチし、結果的に目標金額まで吊り上げていく方法らしい。

誤解を招いてはいけないので付け加えるが、世の中には本当に良心的な業者さんも多くいるので一概に全ての業者を疑ってはいけない。しかし、「悪徳業者」と呼ばれる業者が存在することも確かだ。

「ただ、素人の俺らでは分からん部分が多いからな。」

「先輩、医療器械はどうですか?」

「うん…、俺はとりあえず提示された金額でそのまま契約したが、後からインターネット何かで調べると、結構、自分で買った値段より安いのも多々あったなあ…。」
そうなのか…。ま、これも冷静に考えれば当たり前なんだが…。

「しかし、結構安くなってませんでしたか?」

「確かに、最初、見積もりを見た時、俺も“安っ!”と思ってしまったが、定価に惑わされたところもあるよな。で、よくよく見れば定価そのものが破格のモノも多かったし、調べて見ると安いと思っていた値段より、もっと安かったりしてたから、最近はメーカーに直接問合せたりしてるよ。」

そして、先輩からアドバイスがあった。

「こないだ、大川君が来た時、“自分ではほとんど何もしなかったから高くついた”と言ったよな?」

そうだった。その時は舞い上がっていたので、さほど気にかけなかったが…。

「だから、佐川氏に全て任せるのもいいが、自分で調べたり、内容を把握したりすることが大切なんだとも言ったよな?忙しい中、厳密にやろうとすると難しいけどな。」

そんな事仰ってましたっけ?自分が聞いてなかっただけか?

いずれにしろ、今日は来て良かった。

 

明日へ続く・・・

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4月 3rd 2007
世の中というものを知る:前編 (第35話)

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「どうだ?順調に進んでるか?」

休診である木曜日の午後、先輩医師でクリニックを開業しておられる吉田先輩に時間を取ってもらった。

「ええ、おかげさまで、何から何まで佐川氏にやってもらって助かっています。いい人を紹介していただいて、ありがとうございます。」

これは事実なので素直にお礼を言っておいた。

しかし…、やはり何点か気になることがあるので思い切って聞いてみた。

「こんな事を聞いていいのかどうか分かりませんが、先輩は、佐川氏に幾ら払われました?」

自分はディスカウントしてもらっているはずなので、先輩は300万円支払っているはずだ。

「え~っと…、結構安くしてもらって、確か200万円だったかな?」

…同じだ!自分だけが安くしてもらった訳ではないのか…。

結局、いきなり200万円と言われるより、“本来、○○円のところを、特別に譲歩して○○円”という言い方の方が、払う側の財布の紐がすんなり開くということだ。

スーパーやデパートでも、元々の値段に二重線を引いて、その下に「値下げ価格」を掲示していることがよくあるが、聞いた話によると、元々、二重線を引っ張っているその値段は存在しないらしい。

つまり、高い金額を見せた上で、その下の金額を提示するという、一般的に行われている手法だ。

それを「自分だけ安くなった!」と当時は喜んでいたが、違うのか。世間知らずも甚だしい…。

クリニックを開業する”という大きな不安を、これぐらいの金額で消せるのであれば…と、お金を支払う事で逃げ、その金額が通常よりも安いということで自己弁護していた自分が情けない。

次の質問をするのが怖くなってきた…。

 

 明日へ続く・・・

 

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4月 2nd 2007
クリニック経営・毎月の運転資金 (第34話)

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「今のところランニングコストはどのぐらいになっているんだ?」

ふと気になって考えてみた。

え~っと…、家賃が管理費込みで63万、税理士事務所に7万、借入の返済に31万ぐらい。

これだけで100万突破!そこにリース料が10万円なので、最低でも111万円。

ここにスタッフの人件費、水道光熱費、通信費などを加味すると…、やはり200万円ぐらいになるのか。

という事は、仮に運転資金を200万円として、最低でも患者さんは月400人診療日数の平均である22日で割ったとして1日20人弱…。

1日20人来ればお釣りが出るのか。

最低でも80人は来る場所だと言ってたので、20人など楽勝だろう。

つまり、20人を越えた人数分が自分の取り分となるから、やはり「おいしい」仕事なのかも…。

冷静に考えると、何もかも取り越し苦労で、佐川氏の言う通りに進んでいるような気がする。

と、診療圏調査での不安も忘れ、降って湧いた“管理費”の事も忘れ、すっかり安心モードに入ってしまった。
しかし、人件費か…。そもそも何人雇えばいいんだ?

診療日時は、午前9時~12時、午後16時~19時で、午前診療のみは木曜日・土曜日。日祝日休日。

ごく一般的に、かつ、周辺の医院と軋轢を起こさないように…、と佐川氏が決めたものだが、そもそも、午前と午後の間は何をすればいいのか?

4時間も空き時間があり、木・土など半日休みだ。
多少、混雑して時間延長したところで大した事はない。

「そう言えば…、みんなどうしているんだろう?久しぶりに吉田先輩のところに行ってみよう!」
この訪問が、今後の明暗を分けることになる。

明日へ続く・・・

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