Archive for 2月, 2007

2月 1st 2007
ご挨拶いたします!(前書き)

Posted under ご挨拶

「何でもさせて頂きます!」と勢いよく会社を立上げ、クライアント様のために走り続け、早いもので5年が経ちました。

 その間、本当に色々なご相談を受け、こちらとしても悩みながら解決していく中で、少しずつではありますが、現場のノウハウみたいなものが増えて来ました。
 

これらのノウハウは、現場からの声が基本になっておりますので、院長先生にとっては使えるネタばかりです。

  この度、私どものホームページをリニューアルしたのを機会に、これらの情報を広く皆さんにお伝えしようと考え、少しずつ定期的に、ご紹介させて頂くこととしました。
 是非、日常の業務や戦略策定にお役立て下さい。

No Comments »

2月 28th 2007
お前、大丈夫か?:中編(第16話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

「毎月の支出が分からなくて、どうやってクリニック経営をするんだ!」

仰るとおりです。もう、何も言えません。

確か、運転資金が6ヶ月分1,200万円となっていたはずなので、そうか月々200万か!

「200万ぐらいと思う…。」

本当にそれで足りるのか?返済と家賃だけで80万あるんだぞ。
そこに、水道光熱費、薬も仕入れないとイカンだろう、それに、人件費が
いるだろう?

ウチの会社みたいに顧問税理士や弁護士に払う金、広告代、多分、お前は医者だから色々な会費も払うだろう。また、機械も全て買うのか?恐らく一部リースだろう。それに…、」

本当にこの親父はスゴイと思う。何も見ずに、ここまでスラスラと言えるものなのか。経営者として当然のことなのか?よく考えたら自分も経営者になるので、このようになるのか…?まるで自信が無い。

「で、月の患者数や売上はどのぐらいを見込んでるんだ?」

えーっと、えーっと、確か1日最低でも患者数が80人で、1人当たり5,000円、だったかな?いや、違う、そうだ、年商1億だったから、月900万ぐらいか。

「多いときで月1,000万…、かな?」

「ほ~、開業医って大した商売だなあ。その根拠はあるのか?」

根拠は…、コンサルタントの佐川氏が「大丈夫」と太鼓判を押したから!などと言えば張り倒される勢いだ。
こんなものは理由にならない。

「駅前という便利な立地で、人が多くて…、マンションも増えてきたし」

「○○駅の周辺は、開業医が多いじゃないか!また、お前の入るビルはマンション群の反対側だろう?少なくとも自分が住んでいる足元に開業医があるのに、わざわざ駅の反対に行くか?よっぽどの理由がないと行かないだろう?また、今すでにみんな通っている医者があるのに、あえて、お前のところに行く理由はあるのか?」

すごいですねえ…。親父こそ「コンサルタント」じゃないかと思ってしまう。しかし、関心してる場合ではない。

「とりあえず、周辺を歩いてみてどうだった?」

「いや、まだ一回も周辺を歩いたことがない…。」

「………!!!!バカモン!!!」

 

明日へ続く・・・

No Comments »

2月 27th 2007
お前、大丈夫か?:前編(第15話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

親父との話は続く。・・・

 親子の会話というより“尋問”に等しい。針のムシロとはよく言ったものだ。

「お前が入るビルの家賃は?広さは?」

「50万ちょっと…。42坪らしい。」

「そうすると、坪12,000円ぐらいか。近隣相場からすれば少し高いな。管理費込みか?

ん?管理費?未確認だった。急に不安になってきた。

「確認してないけど、多分“込み”と思う…。」

「家賃の交渉はしたのか?」

お願いしているコンサルタントが、本来15,000円のところを12,000円にしてくれたらしい…。

「本当か~!?元々その値段じゃないのか?他所のテナントに仲良くなってから聞いてみろ!」

この用心深さ、さすが経営者…。

見習わないといけないと思うが、昔から親父のこういう性格が嫌いだったこともあり、あえて真逆の行動を取ってきたように思う。
疑い深く、「性悪説」に立ち、何でも「交渉」に持っていく親父に対して、自分は常に「性善説」に立ち、自分に寄って来る人は全て受容する。

聞こえはいいが、結局、「交渉」という行動そのものが煩わしかっただけなのだ。生まれてこのかた値引き交渉などしたことない。全て言値で買ってきた。

「いい人」と言われるのが最高の賛辞だった。
しかし、開業という一大事を迎えて、はじめて親父の生き様に触れたような気がする。

私は、今まで、この親父に守られてきただけだった…。この歳になって自分で何も出来ない…。情けない!!

自分自身の“ていたらく”に思わずウルッとなりかけたが、容赦なく尋問は続く。

「毎月の運転資金は幾らかかるんだ?」

「運転資金?」

「だから、毎月幾らの出費があるのかということだ!」

相変わらず気が短い。と言うか、あまりに息子が不甲斐ないので情けなくてイライラしてるのかも知れない。

「えーっと、借入の返済が30万で、家賃が50万で、あとは…水道・電気?かな?」

「………!!!!バカモン!!!」

 

明日に続く・・・

No Comments »

2月 27th 2007
はじめての「借金」:後編(第14話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

融資に必要な書類を揃え、保証人が2人必要という事なので、仕方なしに家内と親父にお願いした。

家内は渋々ではあるが承諾してくれた。

あとは親父だ。今までの経緯から非常に頼みにくい。しかし、背に腹は代えられない!
勇気を振り絞って親父の家に行った。

「親父…、お願いがあるんだけど…。」

「保証人か。それはそれで構わないから、少し話を聞かせろ!」

何も言わないうちから、あらかじめ用件は分かっていたようだ。
自分が援助を断った段階で、息子が多額の借金を抱えるのは分かっていたので、保証人の依頼をして来るであろうと待っており、その時に色々と話を聞こうと決めていたらしい。

「幾ら借りるんだ?」

「…よ、4,600万円」

「そうか、で、毎月幾ら返済するんだ?」

親父にしてみれば、この程度の金額では何ともないらしい。

「確か…、毎月30万ぐらい」

「ふうん、少ないな。返済期間は何年だ?」

「20年」

「そうか、長いな。ざっと計算すると…、ん?金利3%を超えないか?」

「確か、3.225%とか…。」

「なっ!さ、3.2%!?世の中これだけ低金利なのに、わざわざ何故こんな高い金利で借りたんだ!どれだけの銀行を比べたんだ!!」

とても、「比較してませ~ん」と言える状況ではない。

しかし、親父の反応を見ると、そんなに高い金利なのか…。

 

明日へ続く・・・

No Comments »

2月 23rd 2007
はじめての「借金」:中編(第13話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

とにかく、借金など全く初めてなので、思い切って色々聞いてみることにした。
それも、気を悪くされないように慎重を期した。

200万円も支払う相手に気をつかう理不尽さ…。今の私であれば“あり得ない”ことだ。

「元金均等返済とは何ですか?不勉強なもので…。」

先ほどの出来事から、少し…?若干…?気持ち…?横柄な態度で教えてくれた。

「先生も、もうすぐ経営者なんですから、少しは勉強してもらわないと困りますね~。いいですか?まず、借金の返済方法には2種類あります。今回選択した“元金均等”と、もうひとつは“元利均等”です。元金均等は、文字通り元金の一定金額を毎回返済するんです。そこに利息が付きますので、当初の返済総額は多くなりますが、年々返済総額は少なくなってきます。元利均等は、毎回の返済総額を一定にするので、当初は、返済額に占める元金の割合が少ないんです。従って、当初はほとんど利息で、元金がなかなか減らないという話です。」

要は、元金均等の方が元利均等よりも当初の返済総額が多い訳か…。

「収入がどうなるか分からない開業当初は、返済額が少ない方を選んだ方がいいんじゃないでしょうか?」

佐川氏のボルテージが一気に上がった!

「先生、開業前からそんな弱気なことでどうするんですか!あの場所なら最低でも80人、軌道に乗れば100人は来るでしょう。それでお金が出来次第、繰上げ返済するんです。借金など早く返済した方がいいに決まってますから、元金が少しでも早く減った方がいいでしょう!?」

おおコワ…。とりあえず「意見」をすると良くないのか。懲りずに、もう一つ聞いてみた。

「据置期間というのは…?」

もう、「はぁ?」という半ばバカにしたような態度で(少なくとも私にはそう感じる…)、

「あのねぇ、先生、診療報酬は2ヶ月間入って来ないでしょ?その間に返済がスタートしたら資金繰りが厳しいでしょう?だから、3ヶ月間は元金返済を待ってもらって、利息だけにしてもらうという話ですわ。」

なるほど、確かにその通りだ。しかし、半年分の運転資金として確か1,200万円ほどあったはずだが…、それでも足らないのか?借金を少しでも早く返すという主旨と矛盾していないか?

少なくとも、佐川氏なりに私のことを考えてくれているのは確かなようだから、これから先も機嫌良く仕事してもらうために、もう黙っておこう…。

 

明日に続く・・・

No Comments »

2月 22nd 2007
はじめての「借金」:前編(第12話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

佐川氏より銀行を紹介された。

「はじめまして。△△銀行の山本と申します!この度はありがとうございます!」

自分としては「都市銀行」をイメージしていたが、△△銀行?あまり聞いた事のない「地方銀行」だった。
佐川氏と同年代であろうか、「支店長付」となっている。支店でも高い地位の人間なのか…。

「4,600万円のお申込みですね。どのような内容をお考えですか?」

内容と言われても…、と、戸惑うことを見越していたかのように佐川氏が口火を切った。

「返済は20年、元金は少しでも早く減らしたいので“元金均等”で、もちろん、社保・国保の指定口座にします」
「あと、据置は3ヶ月でお願いします。」

「………。」

ワケがわからない。どうも融資の決まり上、診療報酬が振込まれる口座を作らなければいけないらしい。それは別に構わないが、あのビルの近所に、この銀行の店舗はあっただろうか?何かと不便になりそうな気もするが、4,600万円も貸してくれるんだから、多少の無理は仕方ないかも知れない。

「利率が3.225%で、毎月の返済は元金が約20万円プラス当初約11万の利息で、合計30万~31万ですね」

この3.225%も高いのか低いのか分からない。親父が付き合ってる銀行にも聞いてみるべきか…。しかし、いまさらどの面下げてお願いすればいいものか…。世の中は低金利時代と言われているが、それは「預金」だけの話で、こういう貸付金利は関係ないのか?
しかし、20年もかけて返済するので、こればかりは慎重に選びたい。山本氏が少し席を外したタイミングを見計らって、思いきって切り出してみた。

「佐川さん、他の銀行の話も聞いてみたいのですが…。」

「先生、この私が選びに選んでご紹介しているので問題ありません。何か不安なことでもあるのですか?」

今までのやわらかい口調ではなく、少し厳しい口調で返された。

「このローンはお医者さんが開業するためだけの特別なローンです。これ以上、好条件の融資はありません!」

う~ん…、やはり口出しすると怒るようだ。確かに、親切心を疑われては誰でも気を悪くするし、当たり前か…。

今から思えば、お人よしにもほどがある。
この出来事を境に、ますます佐川氏に逆らえなくなっていく

 

明日へ続く・・・

No Comments »

2月 21st 2007
はじめての「資金計画」:後編(第11話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

「勝手にしろ!」と激高している親父だが、ほとぼりが冷めたら話が出来るだろうと考えていた。

しかし、今回の怒り様は尋常ではなかった

その理由を後ほど母親から聞いたのだが、親父は、自分が持っている土地(現在は更地)で開業するものとばかり思っていたらしく、いつ相談に来るか待っていたらしい。
親父なりに息子の独立が嬉しくて、知り合いの建築業者等にも「息子が開業するんで、その節は宜しく!」などと、あちこちに声を掛けていたそうだ。
当然、患者になるであろう“ご近所さん”へも、それはそれは丁寧に挨拶していたとのこと。

それを、何の相談もなしに、車で20分もかかる駅前ビルに決めたので、親父の面目は丸潰れ。それよりも、人生の一大事に何の相談もされなかったのが淋しいのだろう。

いずれにせよ、最初から自分で何も考えずに、“人任せ”で進めてきたツケが回ってきた形だ。

話の進め方として、「お任せします」ではなく、ビルテナント・一戸建・都心・郊外等、各開業立地におけるそれぞれの特徴を十分に説明してもらい、それをしっかり把握した上で、家内や両親と話をするべきだった

今から考えれば、当たり前の話だ。

何故、開業に関しては、「人にお願いしなければ出来ない」と最初から決め付けてかかったのだろうか?

いや、お願いしなければいけないということには変わりないが、何故、自分で考えたり、判断することを放棄してしまっているのか?

佐川氏との最初の面談で、矢継ぎ早に質問をされたことから、すっかり「自分には無理」と自信をなくしてしまっていたのかも知れない。

結局、家内にも、親父にも協力を得る事が出来ず、開業における自己資金は400万円と決まった。かき集めると600万円近くはあったが、さすがに無一文になるのも怖く、多少のストック残したいという思いの結果だ。
残り4,600万円は借金することになるが、急に怖くなってきた…。毎月いくら返済しなければいけないのか?

早速、佐川氏に連絡することにした。

「自己資金は、あの…、よ、400万円でお願いします。」

「そうですか…、わかりました。それでは銀行を紹介します。」

電話の様子だと、大したことはなさそうだ。
今から考えると、大変なのは返済する本人だけで、紹介する側は痛くも痒くもないので当然と言えば当然だ。

 

明日に続く・・・

No Comments »

2月 20th 2007
はじめての「資金計画」:中編(第10話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

早速、家に帰って、家内に初めて相談した。

正確に言うと、「初めてまともに相談した」と言うべきか。開業を決意した当時は、家内も色々と心配をしていたようだったが、コンサルタントの佐川氏に任せている旨を伝え「心配ない!」と言って以来、何も聞いて来なくなっていた。
今から思えば、「お前は口を出すな!」というように感じていたのかも知れない。

「1,000万円ぐらい準備出来るよなあ…。」

「アナタ何を言ってるの?今あるお金は子供の学費なので手を付けずに置いておくんでしょ?アナタの貯金で何とかして下さい!

余りの非協力的な態度に、思わず “ むっ ” とした。

しかし、これも後々スタッフを自分で雇うようになって初めて分かることだが、例え、妻と言えども自分に協力してもらうためには、いかにアナタが大切で重要なのかを理解してもらい、話をよく聞き、嬉々として参画するようにもっていかないといけない。

要は、「頼りにしてるよ!」という、相手の自尊心を敬う態度が大切ということだ。

「俺のすることに口を出すな!」

と言っておきながら、

「協力しろ!」

と言われれば、誰だっていい気はしない。所詮、人間は理屈では動かない。パッションだ。

「ウチの従業員はヤル気がない」
「ウチの従業員は優秀でない」

と、嘆く経営者は多いが、その原因が自分自身であると気付いている経営者は非常に少ない。
私自身も、開業してスタッフの扱いに散々苦労をした挙句に分ったことだ。

さて、家内が一銭も出さないとなれば、次は親父だ。

「親父、開業資金の話だけど…。」

「お前、わしに何の相談も無く場所まで決めたそうだな!勝手にしろ!金は出さん!!」

小さな会社を経営している親父は、昔気質なので、非常に気前が良い一方、自分に何の相談もなしに決まった事や、納得のいかない事には、“ビタ一文”払わない人だった…。

相談しなければと思いつつ、後回しにしていたのがマズかった…。

 

明日に続く・・・

No Comments »

2月 19th 2007
はじめての「資金計画」:前編(第9話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

以前、見せてもらった「資金計画」には、開業必要資金が約5,000万円となっていた。

これも、今から思えば情けない話ではあるが、何故、「高くないか?」と一瞬、胸が痛んだ瞬間に、「何に対して、幾らかかるのか?」を正確にその場で把握しようとしなかったのか(合計欄しか見ていなかった)、また、本当にこの金額で収まるのか確認をするべきだった…。
最初から約5,000万円と聞かされていると、その金額が頭を支配する。つまり、TOTALが5,000万円前後で納まれば「予定通り」と思ってしまうし、佐川氏からすれば、5,000万円まで使っていいですよという承諾を得たこととなる。

そこに、節約の精神はまず生まれない。限度額一杯まで使おうという消費意識のみが支配するだろう…。

佐川氏の計画は下記のようなものだった。

テナント保証金 :  6,048,000円(家賃の12ヶ月分 504,000×12ヶ月)
不動産仲介料 :    504,000円(家賃の1ヵ月分)
開業まで家賃 :  1,512,000円(工事着工から開業までの3ヶ月分)
医師会入会金 :  5,000,000円
内装費用 : 15,000,000円(消費税別:750,000円)
設計管理料 :  1,500,000円(工事費用の10%)
什器備品 :  2,100,000円(税込)
医療器械 :  3,150,000円(税込、一部リース予定)
運転資金 : 12,000,000円(月200万の運転資金×6ヶ月分)
印刷物等 :    500,000円(新聞折込チラシ・求人広告・その他諸々の諸経費)
佐川氏支払 :  2,000,000円(開業コンサルティング料)

合計金額 : 50,064,000円(概算値)

完全にマインドコントロール状態であったから仕方ないのかも知れないが、開業コンサルタントの佐川氏は全面的に自分の立場に立って動いてくれていると信じ切っていた。だから、自分があれこれ心配するのは無駄のように思え、かつ、あまり余計な事を言って、佐川氏の機嫌を損ねるのも怖かったという事情もある。

更に、コンサルティング料も先輩より100万円安く、家賃も下げてもらっているという事実もある。

「先生、自己資金は1,000万円ぐらい準備出来ますよね?」

そういえば、佐川氏と会った最初の面談時にも聞かれていたが、バタバタして何も考えてなかった。

「はい…、まあ…。1,000万ぐらいなら準備出来ると思います。」

自分の貯金は、確か、かき集めると500万~600万はあったと思うし、幾ら持っているか知らないが家内も協力してくれるだろう。また、親父も開業する際には援助してくれると言ってくれていたので、余裕があると思う。

 

明日へ続く・・・

No Comments »

2月 16th 2007
患者さんが集まると言い切るワケ(第8話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

自分の新しい「城」となるテナントが決まり、患者が集まるという太鼓判ももらっていたから何の不安も無かった。

しかし、たまたま、医療従事者向けの雑誌に、最近のクリニックにおける開業事情が掲載されており、「競合が激化し、患者数確保が困難。」と大きく書かれた記事を目にした。

「あれだけ人通りが多く、駅からあれだけ目に付けば患者は多いとは思うが…、そう言えば、この地域の人は、今現在病気になった時はどこに通っているんだろう?ウチが開業したからと言って、その人たちが全て流れて来るワケでもないだろうし、長年通っている“かかりつけ医”もいるだろう。本当に大盛況になるのだろうか?」

気になって、佐川氏に連絡してみた。

「先生、私どもで“診療圏調査”を行っていますので大丈夫です。もし、気になるようでしたら、その結果を、次の打ち合わせの際にお見せしましょう!」

何だ、そんなものがあるのであれば、先に見せるのが普通じゃないのか?それとも、それは開業物件を進めるコンサルタントの内部資料なのか?まあ、いずれにしても不安を解消する材料になるのは間違いないだろう。

一体どんな資料が出てくるのか…。

後日、佐川氏が持参した「診療圏調査結果」というレジュメは素晴らしかった。

物件を中心に、500m、1kmと円を書き、その中の人口を役所等で調べ、競合医院のプロットもしてあって、よく分らないが色々調べてあるみたいだった。それらの結果として、1日の来院推定患者数 80名となっていた。

この80名が多いのかどうかぐらいは分る。非常に多いと思う。根拠もしっかりしている(と思う)。

これは信じていい数字なのだろうか…?ただ、自分で検証する術がないので信じるしかないのだが…。

「先生、1日80人なので、午前40名、午後40名という計算です。患者さん1人当たりの単価が仮に5,000円とした場合、そうですね、休みを抜いて毎月平均22日の診療日数として、年間売上は約1億ぐらいになりますね!」

年間1億の売上げ?よく分らないが、今の年収から考えると、すごい話だ。
仮に、経費が半分かかったとしても残り5,000万円。

「年収5,000万円か…。」

頭の中は、それだけが支配するようになった。

今から考えると、恥ずかしい限りだが、気持ちの中で一番楽しかった時期かも知れない。
 

明日へ続く・・・

No Comments »

2月 15th 2007
早い者勝ち?(第7話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

「先生、次の休みにでも、とりあえず物件を見に行きませんか?」

いささか順序が逆のような気もするが、早い者勝ちという優良物件だから仕方ないのか。
言われるがまま、次の休みに連れて行ってもらった。

新築ビルだけあって、さすがにキレイだ。(これも当たり前だが)
立地も駅前で確かに人通りが多い。しかし、新しいマンションは、この物件の反対側に集中しているような気がする。

医療テナントは5件。しかし、「契約済」は1件のみ。ウチで2件目のようだ。

「あれっ?早い者勝ちだったんじゃぁ…?」

佐川氏はすかさず、

「先生、残りの3件も“商談中”なんですよ。だから、もうここに入りたいと言っても入れないんですよ。」

そうか。商談か…。ん?商談?何の話し合いをするのか?自分は何一つ相談されていないが。

一抹の不安があって聞いてみた。

「皆さん、決める事と言っても“入居するかしないか”ぐらいじゃないですか?他に何かあるんでしょうか?」

「そうですね、入居の時期はいつにするとか、家賃をどうするかとか…、それぐらいでしょうかね。」

えっ?、入居の時期は開業日の関係があるから分るが、家賃というのは?交渉出来るのか!

「ウチは大丈夫なのですか?」

「心配ありません。いや実は、私は、ここのオーナーと親しくてですね、先生だけ特別に坪15,000円のところ、12,000円に下げてもらう約束をしていますから大丈夫ですよ。」

そうか、やはり任せて安心だったのか。しかし、“先生だけ特別に”というのは嬉しい話だ。
自分の心配は「杞憂」だったのか。

広さが42坪と聞いているので毎月の家賃は、42坪×12,000円=504,000円 
もし、15,000円なら、毎月63万円。これだけで、毎月126,000円、年間にして約151万の節約になる。

佐川氏に支払うコンサル料も、100万安くしてもらっているので、現段階で、約250万も安くなっている…。

能天気だった私は、「吉田先輩にお礼を言わなければ!」と、すっかり「得した気分」を満喫していた。

 

 明日に続く・・・

No Comments »

2月 14th 2007
開業が勝手に進む(第6話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

面談から数日後、佐川氏から連絡があった。

「先生、開業までのスケジュールが組み上がりましたので、一度見て頂きたいのですが…」

ほう、もう出来たのか。やはりコンサルタントというだけある。

早速、前の喫茶店で面談し、そのスケジュール表に目を通した。

開業日:平成16年9月
場  所:○○駅前医療ビル
資  金:約5,000万  …。

今が1月なので、約9ヶ月後か…。
家内と色々話し合ったり、病院に意思を伝えて引継ぎしたり、色々ありそうだが、そんな期間で開業出来るものか?
少し性急のような気がするが…。○○駅は確かに家の近所ではあるが、車で20分というところか。自分の医院に通勤をする訳か。5,000万円って一体何のお金?高くない?相場ってこんなものなのか…?

平静を装いつつもパニックになる。

その表情を見越したかのように、佐川氏が言葉を続ける。

「先生、少しペースは早いかも知れませんが、これで大丈夫です!また、先生は非常にラッキーです。この○○医療ビルは、立地もそうですが、マンションもどんどん建って人口が増加する場所ですので、早い者勝ちだったんですよ。とりあえず仮に押さえておきました!もし、先生が宜しければ正式な契約に入ります!」

図面を広げて説明を続けるが、見てもいない物件の図面を見たところで、何のイメージも湧かない。普段目にしないものだから、「線がたくさん引かれている大きな紙」にしか見えない。
しかし、患者さんが間違いなく大勢押しかけるという佐川氏の言葉に、「まあ、コンサルタントが言うのだから間違いないか。」と、またまた、妙に他人の言うことを信じるという行為を自己弁護し【 承認 】してしまった。

「先生、いかがです?」

いや、いかがです?とニコニコして言われても…。こっちは“任せる”と言ってしまっているので、答えは1つ。

「それで進めて下さい。」

どうせお願いするんだし、自分が下手に考えたところで素人なんだから、これでいいだろう。

診察の腕には自信がある。しかし、この手の話になると、「自分は素人」と決め付けてしまい、「自分で考える」という事を全くしなくなっていた

 

明日に続く・・・

No Comments »

2月 13th 2007
何も決まってないんですね…、分りました。任せて下さい!(第5話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

「先生、ご開業はいつ頃の予定ですか?」

早速、佐川氏の質問が始まった。

当然と言えば当然の質問。開業する時期が分らなければ、スケジュールの立てようがない。さらに質問は続く。

「場所はどのような場所をお考えですか?都心部ですか?郊外ですか?ビル診療ですか?自宅兼診療所ですか?」
「自己資金は幾らの予定ですか?」
「院内にされますか、院外にされますか?」
「HPは作りますか?」

何のことかよく分らないが、少なくとも、イザ開業するためには色々考えないといけないという事は分った。

しかし…、佐川氏からすると当然の事を聞いているのであろうが、「先生!先生!」と立て続けに言われると、半ば自分が責められているように思えて、とりあえず、その場から離れたくなった。

ここで、将来からの“ものぐさ性質”が頭をもたげた。

「すいません…。お恥ずかしい話ですが、何も決めてないんです。全てお任せしますので、お願いしていいですか?」

後から思えば、これが一番よくなかった。このいい加減さが後々の苦労を倍増させる事になる。

「何も決まってないんですね?そうですか…分りました。任せて下さい!ちなみに、お手伝いさせて頂く料金なのですが、吉田先生のご紹介なので、本来であれば300万円のところ200万円で結構です。」

正直、200万円という金額が高いか安いか分らない。自分では200万円もの大金を右から左に移す生活はしたことがなかったので、高いと思う。
しかし、全く何もしなくても良いという「煩わしさからの開放」と、あと、吉田先輩が言ってた「高くつく」という言葉を思い出し、

「と、言うことは、先輩は300万円支払っている訳か。自分の方が安くついた!これはありがたい。」

妙に自己弁護的な発想をしてしまった。何よりも、この佐川氏の言うことを聞かなければ、開業出来ないかも知れないという不安も大きかった。また、「200万でよい」という言葉の使い方も上手い。いかにも、ディスカウントを強調した言い回しだが、それにすっかりはまってしまった。

どんな、ディスカッションでもそうだが、準備不足のまま臨むと、精神的に相手有利になりがちだが、今日の場合は、「ノーガード」で打たれ放題といったところか。

精神的に不利な状況と、妙な自己納得で200万の出費が決まった瞬間だった。

 

明日へ続く・・・

No Comments »

2月 9th 2007
初めまして (第4話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

吉田先輩に会ってから3日後、紹介された“医療コンサルタント”と面会した。

当然、病院の中で「開業の話」など出来ないから、勤務が終わった後、近くの喫茶店での面会となった。

「はじめまして。私、クリニック開業コンサルタントの佐川と申します。この度は“おめでとうございます!”」

いきなり、「おめでとうございます!」と言われ少しビックリしたが、悪い気はしない。そうか、クリニック開業とは「めでたい」ことなのか。

すっかり最初から、その佐川氏のペースで話は始まった。

 

明日に続く・・・

No Comments »

2月 8th 2007
誰に相談するか(第3話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

「開業しよう」と、決めたものの、まず誰に相談するか、皆目検討がつかない。


 
とりあえず、同じ大学の吉田先輩(仮名)に話を聞きに行く。当時、開業2年目で、毎日患者が溢れ返るほどの盛況ぶりだった。


 「そうやなあ…、俺が開業する時は、医局に来てた薬屋に相談したかな。そこで、よく分らないが、“医療コンサルタント”という人を薬屋が連れて来て、あとは言いなりという感じかなあ。自分ではほとんど何もしなかったなあ。その代わり高くついたけどな。」

大川先生は内心安堵した。


 そうか、そのコンサルタントか何か分らないが、そういう開業を一手に引き受けてくれる人がいるのか。生来、自分の興味がある分野以外は、何もしない性質だからちょうどいい。それでは、早速その人を紹介してもらおう。

大川先生は、早速、吉田先輩に、その“コンサルタント”を紹介してもらうようお願いした。


 
「これで、もう安心だ。後は任せるだけだ。」
 帰りの車の中で、「いよいよ俺も成功者の仲間入りか~。」
 

と訳の分らない充実感に浸っていた。頭の中から


 「高くついた」
 

という、先輩の言葉はきれいに抜け落ちていた。


 

 明日に続く・・・    

  

No Comments »

2月 7th 2007
開業の不純な決意(第2話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

今から4年前の平成15年頃、自分の同期生が、1人、また1人と開業していくのを横目に、
 「将来のことを考えると、自分もそろそろかなあ…。」
 

と漠然と考え始めたそうです。
 しかし、当然、【 漠然と 】なので、自分が一体何をしたいのか、どういう場所でするのか、そもそも、いつを開業日にするのか等、全く白紙の状態で、ただ単に、
 

「今の給与は年間1,500万前後だが、開業すれば2,000万円は固いと聞く。子どもの学費等を考えると、手取りは多いに越したことはない。かつ、当直がある訳でもなく自由だ!」


 
ぐらいの認識しかなかったものの


 「多分、開業すればいい生活が出来るだろう。何となく毎日が忙しいから先送りにしていたが、よく考えれば、悪い話ではないよな…。」
 休憩室でコーヒーを飲み干し、紙コップをグシャっと握って、決意したそうです。


 
「よし!開業しよう!!」
 ここから、大川先生の苦労話(自業自得と言えばそれまでですが)が始まりました。

明日に続く・・・
 

 

 

No Comments »

2月 6th 2007
座右の銘は「人任せにしない」(第1話)

Posted under 新規開業医の悲しい物語

現在、開業3期目の大川先生(仮名)、専門は「内科・消化器」。
 今でこそ、地域になくてはならないクリニックとして、忙しい毎日を過ごされていますが、開業当時は訳も分らず、外野の声を聞き過ぎて“大失敗”を繰り返したそうです。
 

当時の失敗を教訓とし、座右の銘として…
 何をするにしても、最終決定は自分自身で行う!決して“人任せ”にしない!
 

という事を心がけているそうです。
  一体、何があったというのでしょうか…?
 先日、久しぶりに一緒に食事をした時に、“遠い目”をして当時の様子を語ってくれました。

明日に続く・・・

No Comments »

2月 1st 2007
情報社会の落とし穴

Posted under イントロダクション

最近は「情報社会」と言われており、インターネットで本当に色々な情報が集めることが出来るようになりました。一昔前からすれば信じられないほど便利です。
 
しかし、それと平行して、「どの情報が正しいのか分らない」、「自分で取捨選択が出来ない」といった“決断における弊害”が生まれていますし、加えて、「インターネットに載っていたから正しい」と、その情報を鵜呑みにし、何故、そのような結論に達しているのか深く考えない「思考力低下」も進んでいるように思えます。
 

皆さんは心当たりありませんか?
 
私たちも、色々な先生方のご相談に乗り続けておりますが、年々、「知識武装」されている先生が増えていると感じます。しかし、間違った情報に振り回されている先生も多く、また、信頼の出来る人に「任せている」と胸を張り、実は“ぼったくり”に遇っていると気付いていない先生も多いです。
 

結局、「自分の考えはこうだ!」という信念がなく、「こうしたい!」という理念がなく、「誰それが言っていたから」「インターネットで調べたから」で物事を決めていることが多いので、右往左往する訳です。
 
ポイントは、「他所はどうしているの?」ではなく、「自分のところではこうする!」ではないでしょうか。
 

このブログでは、このような「他人任せの失敗例」も数多くご紹介する予定にしております。

 

※このカテゴリーはこの投稿だけです。

 

No Comments »

- Next »